「もう二度と、病院で働きたくない」と、Sさん(32歳)は語り出した。都内の有名民間病院で働き始め、内科と外科の患者が混在する病棟に配属された。1時間前から無賃で出勤。担当の10人それぞれの点滴の種類と打つ時間、既往歴、薬の種類などすべて頭に入れておかなければならない。がん患者に対する化学療法も行った。ひとつひとつが責任の重い業務だが、内科と外科では看護の内容がまったく違いプレッシャーは凄まじかった。しかも、入院日数が短いことから常に重症患者ばかりを看るため、患者が治っていく過程を知る喜びを感じないままハードな毎日を過ごした。夜勤明けに休みが重なり、数日病棟を空けると患者が入れ替わっている。患者の情報収集にあくせくし、やりがいを感じないまま激務に追われていった。もう、もたない。看護師になって、たった1年半でSさんは白衣を脱ぎ、コンサルタント会社に転職。免許を持ちながら看護師として働いていない、55〜65万人いる「潜在看護師」の一人となった。
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